リトリートとは「人」が「ヒト」に戻る場所 【亀山温泉リトリート】

~リトリートの達人が伝える、自然と調和して生きるヒント~

房総半島のど真ん中、奥房総の亀山湖畔に佇む温泉旅館「亀山温泉ホテル」は、2021年12月に新ブランド「亀山温泉リトリート」を立ち上げました。千葉県最後の秘境・リトリートの聖地「奥房総」といわれる豊かな自然環境を活かして、自然の中で気づきと癒やしに溢れたレイクセラピーをお客さまに提案しているのが、リトリートの達人「ミドリマン」こと豊島大輝さんです。

亀山湖畔での焚き火や星空観察、ヨガなどのレイクセラピーを通して、「人」から「ヒト」に戻る場所を体験してほしいという豊島さんに、「亀山温泉リトリート」が提案するリトリートの魅力や、新ブランドの誕生秘話についてお聞きしました。

●目次

●亀山温泉リトリート 誕生秘話

-新ブランド「亀山温泉リトリート」について、簡単にご説明いただけますか。

「亀山温泉リトリート」は、老舗温泉旅館「亀山温泉ホテル」と敷地内にあるグランピング施設「glampark亀山温泉」「リトリートグランピング千葉亀山」共通でご利用いただける、自然体験型リトリートの共通ブランドです。

亀山温泉ホテルの特徴である天然温泉入浴や会席料理、グランピングドームでの宿泊体験やBBQを自由に組み合わせつつ、亀山湖畔の大自然の中でのレイクセラピーや自然体験にご参加いただけます。亀山湖を一望する圧倒的なロケーションの中で、焚き火をしたり満天の星を眺めたり、湖畔でヨガをしたりしながら、自然との繋がりを感じていただけるプランをご用意しています。

2023年5月からは、新たな宿泊施設として、全棟・専用温泉風呂付きグランピング施設「リトリートグランピング千葉亀山」がオープン予定!こちらの施設でも「亀山温泉リトリート」が体験可能です。

「亀山温泉リトリート」というブランドが誕生したきっかけ、背景をお聞かせいただけますか。

亀山温泉ホテルは昭和25年創業の老舗旅館で、長年中高年のお客様をメインターゲットに営業してきました。15年ぐらい前からは、独自性を打ち出すためにターゲットをファミリー層、特に幼児連れのお客さまにシフトして、ミキハウスの「ウェルカムベビーのお宿」の認定も受けています。ただ、他の観光地、温泉旅館とさらなる差別化を図っていかないと、事業の継続は難しい。そこで着目したのが、亀山湖畔のダイナミックな自然の中でのリトリートという新規事業でした。

私は2014年から鹿野山自然学校の校長をしていて、全国で自然体験や自然療法などのセラピー、アウトドアやリトリート事業のプロデュースをしていたので、2021年5月に「亀山温泉リトリート」の事業計画を提出して、亀山温泉ホテルでのリトリート事業をスタートしました。

2021年8月には、グランピング施設glampark亀山温泉が亀山温泉ホテルの敷地内にオープンし、亀山温泉ホテルのお客さまだけでなく、glampark亀山温泉をご利用の方にもリトリートプランをご提供できるようになりました。そこで、リトリート事業を束ねて両方の施設で体験できる統一のブランドが必要になり、誕生したのが「亀山温泉リトリート」です。

glampark亀山温泉

5月に開業する「リトリートグランピング千葉亀山」

●リトリートの達人が提案する、亀山温泉リトリートのこだわり

-「亀山温泉リトリート」のブランドコンセプトを教えていただけますか。

一言でいうと「人がヒトに戻る場所」ですね。

私たち現代人の暮らしは、自然からどんどん遠ざかってしまっていて、そのために健康面での生活習慣病や、精神面でのストレスなどのトラブルが起きています。ただ「それじゃあ、もう一度自然に戻りましょう」といっても、衣食住が整った都市で暮らすことが当たり前になってしまっています。そこで体験してほしいのが、定期的な自然への回帰、すなわちリトリートです。

社会的な立場を持つ「人」が、自然へのリトリート(転地療法)により、地位やプライド、生き方を窮屈にしている思想などの「鎧」を脱ぎ捨て、自然の一部「ヒト」に戻ることで、ありのままの自分を取り戻したり、癒やされたり様々な気づきを得たりしながら、自然の中で新たな自分と出逢うことができる。奥房総亀山湖の大自然が、自然との繋がりを取り戻すきっかけになればと思っています。

-豊島さんがご自身の「リトリート」観にたどり着いた歴史をお聞きしてもいいですか。

小学六年生のときに、父が仕事に打ち込みすぎて過労で脳梗塞を発症してしまったことがスタート地点です。私は大阪で生まれ、週末はキャンプや車中泊旅行などを楽しむアウトドア一家に育ちました。平日は街で、週末は自然の中で過ごす生活サイクルで暮らしていたのですが、小田原への転勤をきっかけに父が働きすぎて病気を発症し、生活が一変しました。楽しかった週末の景色が変わってしまったことで、「人は自然から離れてはいけない」という強烈な原体験が私の子供心に刻み込まれたんです。

この体験から、病気と自然の関連性に興味を持ちました。父の病気で進学が出来なかったため、高校卒業後はセラピスト関連の資格を数多く取得し、当時の日本では珍しかった転地療法を目的としたタラソテラピー施設「テルムマラン・パシフィーク」のセラピストになりました。その後、伊豆の旅館再生責任者、自然学校運営を経て亀山温泉ホテルに入社し、いまはリトリートの普及をライフワークとしています。

-大変なご経験をお持ちだったんですね...。そんな豊島さんが「亀山温泉リトリート」に込めているこだわりをお聞かせいただけますか。

ただの自然体験ではなく、自然物としてのご自身を取り戻すための「セラピー」ですから、体験を通して深い自然とのつながりを感じてもらえるようにしています。

例えば、ネイチャーガイド中に猿がいて、フンをしている時があります。猿がいなくなった後にみんなでそのフンを突っつくと(笑)、ヤマモモの種などが出てきます。猿は食べ物を得て、ヤマモモは種を猿に運んでもらっている。猿とヤマモモは繋がっているわけですよ。自然物は決して単独では存在していません。必ず何か他の自然物と共存し合っていて、もちろん人間もその輪の中にいる。自然の循環の中に自らも組み込まれて多種多様な生態系の中で生かされているという、「ヒト」としての実感を味わっていただきます。それが亀山温泉リトリートの特徴です。

あくまでも私の定義ですが、リトリートとは転地により「人がヒトに戻る場所」のこと。街での姿「人」のステータスをそのまま自然の中へ持っていくタイプの旅とは分けて考えたい。

例えばグランピングドームの中には殺虫剤の代わりに虫取り網が置いてあります。「虫にも彼らの役割があります、見つけたらそっと外に逃がしてあげてください」と言葉を添えて(笑)。ここでは彼らが先住者、人間の方がビジターですから。そうやって自然との共存を意識すると、リトリートを終えて街での姿「人」に戻ってからも、多種多様な人がいる中で異なる他者を排除せず、共存共栄していく知恵を学んでいけると思います。そのために、自然学校運営で学び得た自然の知識や、セラピストとして習得したヨガや気功などのセラピー手法を駆使して、自然物同士の繋がりを目に見える形で証明したり、生身の実感として自然と自分が繋がっている時間を感じてもらったりと、忘れていた自然との繋がりを「再び取り戻す」場作りを心がけています。

意識しているのは「攻めのリトリート」。

とにかくゆっくりしてください、静かに過ごしてください、というリトリートもあるのですが、自由にゆっくり過ごしてくださいって結構ストレスを感じますよね。日本人の DNAは「何時に薪割りをして、何時にお風呂に入って」という、ある程度の枠があるスタイルの方が、むしろストレスが少ないと思っています。

私は健康運動指導士ですが、「アクティブレスト(積極的休養)」という言葉があって、ただじっと休むよりも、適度に身体を動かした方が血流も良くなって疲れがよく取れることが科学的にも証明されているんです。そこで、亀山温泉リトリートでは、湖畔を散策するネイチャーガイドや、薪割り体験など、適度に身体を動かしてもらいながら自然を体験するリトリートプランをご用意しています。

●亀山温泉リトリートのおすすめプラン

おすすめのリトリートプランを教えてください。

「亀山温泉リトリート」の特徴は、お客さまのライフスタイルやご予定(日帰り・宿泊)に合わせてプランが選べることです。温泉旅館でゆっくりしながら合間合間にレイクセラピーや自然体験を入れていただいてもいいですし、グランピング施設を起点に朝から晩まで自然の中で走り回ってもいい。自由自在に掛け合わせることができます。

プランの詳細はホームページでご案内しているので、プランに込めた工夫や、プランを通して感じていただきたいことを少しご案内します。

(ホームページはこちら >>> https://www.kameyamaonsen.jp/retreats/#plan


◆レイクリトリート

亀山湖畔でのネイチャーガイドと湖畔ヨガがセットになったプランです。自然が好きな人は湖畔散策だけ、蛍を見に行ったり、カブトムシを捕まえに行ったりと自然体験だけの時もありますし、ヨガが好きな人は湖畔でのヨガを中心に行うこともあります。基本は散策40分+ヨガ20分ぐらいのバランスで、ヨガは木のポーズや山のポーズなど自然と調和するためのポーズを行い、雄大な奥房総の自然と一体となる時間を味わいます。


◆焚き火リトリート

たかが焚き火、されど焚き火。背景にはいろんな想いや目的が詰まっているんですよ、実は。

焚き火の炎を見つめるのって最高の癒やしになると思うのですが、「はい、焚き火の炎をじっと見つめてください」といっても、なかなか難しいですよね。そこで、焼きマシュマロをセットにしています。マシュマロはずっと見ていないと焦げてしまうので、焼きながら自然と焚き火の炎を眺めて瞑想のような心理状態に。アクティビティを楽しみながら、リトリートの意味もちゃんと満たしているんです。

焚き火に使う薪は周辺の山から集めてきます。山の中に入るとハイキングロードなどの道があるのですが、台風などで木が倒れて道が塞がれることがあります。その木を貰い受けてここで焚き火をすることで、山が綺麗になるし、ハイキングロードが通れるようになったら、その道に今度は自然体験で自分たちが登っていけます。

サステナブルツーリズムという言葉がありますが、自然体験で終わらずにその先のことも考えられたら、どんどん地域は良くなっていきます。そういう仕組みを構築、実践していくためのプランの一つが焚き火です。

詳細プランはこちら >>> https://www.kameyamaonsen.jp/retreats/plan/takibi/


◆星空リトリート

星空を見上げて「よかったね、綺麗だったね」で終わりにするのではなく、自分の見えている世界を超えた想像力を身に付ける体験にしていただきたいと思っています。

星を見ながら「星空の神話のオリオンはサソリが苦手で」という話をするじゃないですか。星空の神話って神様が作ったわけじゃなくて、はるか昔の「ヒト」が作った物語なんですよ。人間が星と星を結び付けて星座絵にして、どこかの時代にその物語を紡ぎ出して、それを今の私たちが受け取っている。「人生100 年時代」といわれているけれど、人間の歴史という尺度で考えると、1000 年も2000 年も残るものがある。ヒトは自らの生きている時間の尺度を超えることができる。

一等星って明るい星は、実は街に戻っても見えるんですよ。ただみんな、見上げないから気づかないだけ。そういう話をすると、リピーターさんからは「あれからたまに上を見る習慣がつきました」とか「星空の神話をちょっと調べてみましたよ」とか言っていただける。

「ミドリマンと会うと世界観が広がる」とよくいわれるのですが、私がリトリートを通して提供したいのは、まさに世界観が広がる場なんです。ヒトとしての想像力を身に付けたら、次の世代のこともちゃんと考えられますよね。環境汚染とかもそうですけど、自分の生きている時間の尺度を超えて考えたら、自然にゴミを捨てるなんてできないじゃないですか。楽しみながら自分らしく生きることで、自然と調和していけるような気付きをリトリートで得ていただけたなら最高ですよね。

詳細プランはこちら >>> https://www.kameyamaonsen.jp/retreats/plan/star/


◆広域ネイチャーガイド

奥房総の秘境をガイドするツアーで、亀山温泉リトリートでしか行けないような場所をガイドします。

山地生態系の仕組みなど自然の学びを得られるツアーですが、ご要望によって秘境滝や渓流の流木拾いなど、様々なニーズに対応しています。川漁師と一緒に天然うなぎ釣りに行くこともありますし、2021年10月にはテレビの「ぐるぐるナインティナイン」でスペシャル食材探しに少しだけ出演しました。自衛隊芸人のやす子さんとロケ隊を連れて奥深い山へ木の実を探しに行き、雨の翌日の取材だったのでロケは転倒続出の阿鼻叫喚!泥だらけになって捕った木の実は「あぐー豚のやまぼうし煮 モンブラン仕立て 5,600円」という高級料理に様変わりしました。ホント、奥房総の奥地まで色んな人を色んな目的でガイドしています。もちろん蛍ガイド、星空ガイドや亀山湖畔ハイキングなどベーシックな内容でもOKですよ!


どのプランでも共通して意識しているのは、体験を通して自然と調和した生き方のヒントを得てもらうことです。自然に感謝してありがとうと思いながら暮らしていると、やっぱり心の豊かさが違いますから。自分も自然に抱かれて過ごしていて実感しているので、リトリートを通して場を提供していきたいですね。

●亀山温泉リトリートの公式情報

宿泊施設名:亀山温泉ホテル

住所:〒292-0523 千葉県君津市豊田65

TEL : 0439-39-2121 [受付時間|8:00~21:00]

アクセス

【車】(カーナビの目的地は「亀山温泉ホテル」をご設定ください)

東京方面から:
湾岸道路、京葉道路を通り、蘇我ICから館山自動車道へ入る。
姉ヶ崎袖ヶ浦ICを降りて、国道410号、千葉鴨川線で約40分。

川崎・横浜方面から:
東京湾アクアラインを利用して木更津金田ICまで。首都圏中央自動車道に入り、
木更津東ICを降りて、国道410号、千葉鴨川線D約30分。

【電車】

JR東京駅から特急さざなみを利用して木更津駅へ。久里浜線に乗り換えて上総亀山駅下車。そこからタクシー2分/徒歩12分。

【高速バス】

東京駅八重洲口から高速バス「アクシー号」で約100分、「笹」バス停下車。徒歩10分。
渋谷駅渋谷マークシティから高速バス「シーバレー号」で約120分、「笹」バス停下車。徒歩10分。
千葉駅から高速バス「カピーナ号」で約75分、「藤林大橋」バス停下車。徒歩5分。

■今回お話をうかがった方

亀山温泉リトリート・鹿野山自然学校校長
豊島大輝(とよしま・たいき)氏

1975年大阪生まれ、小田原育ち。
父の大病をきっかけに自然と人の調和を探求し、当時の日本では珍しかった転地療法を目的としたタラソテラピー施設「テルムマラン・パシフィーク」のセラピストになる。
その後、伊豆の旅館再生責任者、自然学校運営を経て亀山温泉ホテルに入社。

長年の自然療法セラピストの経験から、社会的な立場を持つ「人」を自然の一部「ヒト」に戻すことをライフワークとし、忘れかけた現代人のスイッチを入れ続けている。

健康運動指導士・ネイチャーゲームリーダー

https://www.instagram.com/taikitoyoshima/

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